♯0207

去年の誕生日は、舞美ちゃんと手を繋いでメンバーがいる楽屋に入った。

照れくさくて恥ずかしくてでも嬉しくて、握った手はがしっと掴まれて。
「強く握り過ぎ!」って言っても舞美ちゃんはにこにこ笑って決して手の力を緩める事はなかった。
ふたりで深呼吸して目で合図して、同時に楽屋に入ったら、みんなの笑顔と祝福に一緒に包まれた。

小学生の時からずっと、誕生日は舞美ちゃんと私がセットだった。
だからこの日だけは舞美ちゃんがみんなのリーダーではなくて、私だけの舞美ちゃんのような気持ちになった。

今年だって、そう。なんだけど。

最近は愛理と舞美ちゃんがホントに仲良くて・・・仲良過ぎて、それは別に嫌じゃないしむしろバカップルめ!って感じで、普段はそうなのに。
今日だけはなんだかそれがちょっと嫌な、そんな気持ちになってそういうのやだなって思って。
勝手に一人で自己嫌悪してみたり・・・誕生日なのに。
誕生日にオフだなんて嬉しいはずなのに、ちょっとだけがっかりしてる。
舞美ちゃん、何してるかな・・・愛理と会ってるのかな、メールしてるのかな、電話してるのかな。



・・・何でこんな事考えなきゃいけないの、普段は何とも思わないのに。



きっと明日になれば、この気持ちはなくなっていつも通りになる。
舞美ちゃんと愛理を見て、このバカップルめ!って思うだけ。それだけ。
ただちょっと寂しいだけ、だから。

だから、この日だけは今日だけは・・・。



END