ENDLESS LOVE まだ肩が揺れる程息が乱れていたけれど、やっと開かれた舞美ちゃんの潤んだ目が何かを探すように揺れていた。 私が顔を寄せて目を合わせると安心したように微笑む。 髪をそっと撫でると気持ちよさそうに目を細めた表情はさっきまでの妖艶さはなく、どちらかというと無邪気な子供のようだった。 あんなにくすぶられていた気持ちがふんわりとしたものに変わる。 「舞美ちゃん。」 さっきとは違ってはっきりとした声が出た。 舞美ちゃんが更に目を細めて微笑む。 「愛理。」 舞美ちゃんの声はまだ少しだけ湿り気を残していた。 こんなに暑くて熱くて湿気を含み熱がまとわりつくのに、どうして愛しい人の体温だとこんなにも心地いいんだろう。 初めて合わせる肌の感触は、今までに感じた事のないもので、それが舞美ちゃんのだと思うと幸せで頬が緩む。 いつまでもこうしていたくて、ぎゅっと抱き寄せると、舞美ちゃんの腕が私の首にすっと伸びてきて引き寄せられ、一瞬、唇が触れた。 あまり自分からする事がないからなのか、恥ずかしそうに私の胸に顔を埋めてしまった。 その顔が見たかったから、目の前に見える髪の毛に口づけると、舞美ちゃんは簡単に顔を上げた。 朱に染まる頬があまりにかわいくてそれでいて微笑ましくてくすぐったくて。 だから、今度は私からゆっくりと口づけた。 日はすでに空高く上がり、毛布から出ている肩がじりじりする。 朝からそして今、お昼にかけて。こういう事をするだなんて思いもしなかった。 そのせいで、お互いのカラダは丸見えで・・・さすがに我に返って恥ずかしくなった。 きっと舞美ちゃんはもっと恥ずかしいに違いない。 だけど、恥ずかしいと思う反面やっぱり嬉しい想いが勝ってる。 舞美ちゃんも同じだと思うと幸せで、胸がいっぱいだってこういう事を言うんだと思った。 愛しさを抱き、再び口づけようとした瞬間。 ドアの向こうで気配を感じて、慌てて舞美ちゃんごと毛布で頭まですっぽりと隠した。 「愛理、お昼ごはん食べるー?」 「う、うん!今行くっ!」 さすがに誰か来てるのに無防備にドアを開けられる事はなくて、足音が部屋から離れて行くのがわかった。 思わず、ふぅと息をついたら、くすくすと舞美ちゃんが笑った。 「な、何で笑うの?」 「だって、毛布被ったって・・・部屋見てみて?」 ガバっと勢いよく舞美ちゃんが毛布を捲った。 急に明るくなったから一瞬目が眩んだが、舞美ちゃんが悪戯に笑って指差す先を見る。 「あっ・・・。」 そこには脱ぎ散らかしたお互いの服が散乱していた。 服をきちんとたたむ余裕なんかなくって、そのまま投げるように布団の外に出した、服。 裸でいる事を見られなかったとしても、何をしてたかわかってしまう状況だったのにも気づかなかった事が恥ずかしい。 それで何となく舞美ちゃんの方を向けずにいると、背中から包み込まれるように抱きしめられた。 背中とも首とも言えない微妙なところに唇を落とした後、その唇は私の耳元に寄せられた。 「朝からイケナイ事しちゃったね。」 その言葉に収まった熱が一気に上がる。 舞美ちゃん、ずるいよ。 あんなに恥ずかしそうにしてたのに、こんな事さらっと言うんだから。 反撃しようとカラダを回転させると、顔を真っ赤にした舞美ちゃんがいて、ホントはさらっと言ったわけじゃないんだと思った。 そしたらなんかおかしくって、舞美ちゃんの腕の中で笑った。 舞美ちゃんは何がおかしいのかわかんないのに一緒に笑ってた。 おかあさんに呼ばれていた事を思い出して、部屋に散乱してる服を拾って着ていると、ホント初めてだったのにムードなかったなぁって思う。 想像してたのは、お泊りした夜とかで、もちろん暗くて。朝までぎゅっとしながら寝て・・・。 でもだからって期待外れだったとかガッカリしたとか、そういう気持ちはなかった。 焦って服を着たせいかTシャツを後ろ前に着てる舞美ちゃんを見て、なんからしいなぁって思ったりもして。 私に指摘されて慌ててTシャツを着直したりして。そういうのもアリだなぁって思えるのは、その行為自体が幸せだったからだ。 時にはムードとか必要かもしれないけれど、だけどホントに大切な愛のある行為が出来ただけで。それだけで。 「ご飯食べに行こっか?」 手を差し出すと細くて綺麗な腕が伸びて来た。 その腕は私の手をすり抜けて、私のカラダを包み込んだ。 「愛理。大好き。」 耳元で、そう囁かれて私はたまらず強引に唇を奪った。 きっとこれから何度でも舞美ちゃんに恋をする。きっと、ずっと、永遠に。 END |
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