このままずっと君を見てるから ---こんなにいつも君の事好きなのに。 大声で歌った。いつも後ろに舞美ちゃんを感じていた。 振り向く事は出来なかったけれど、確かにそこにいる、いつも感じていた。 ◇◇◇ 「舞美ちゃんだっていつも誰かの肩抱きまくってるじゃない。」 ついつい言葉に出た気持ちに舞美ちゃんだけじゃなくて、自分自身驚いた。 その言葉はもう取り消す事も出来なくて、俯いた舞美ちゃんの顔はどんな表情か見えなかった。 この人は、そんなの無自覚なのを知っていた。だから今まで言わずにいた。 誰かに触るのを見る度に、心の中にビリビリと電気のように鋭い嫉妬という感情が走っても。 「・・・友達だよ。あの人は。」 距離を縮めた。まだ舞美ちゃんの顔は見えない。 「ホント、に?」 「ホントだよ。」 手を伸ばして舞美ちゃんの頬に触れた。顔を上げさせると切なく笑っていた。 だから私はそのまま引き寄せて唇に触れた。 こんなに好きなのに。言葉にしなくても唇で伝わってしまえばいいのに。 疑う気持ちを消し去ってしまえたら、いいのに。 「私が、誰かに触るの、イヤ?」 さっきの言葉を気にしてるんだろう。 私は首を横に振った。 「イヤなら、しない。」 「イヤじゃない。」 私は即答する。イヤというのとはまた違うからだ。 嫉妬して醜いくらい舞美ちゃんを独占したいと思うけれど、私は舞美ちゃんには舞美ちゃんらしくまっすぐで無邪気なままでいて欲しいから。 これ以上近づけないくらいに体を引き寄せて強く抱きしめたら、確かな熱が存在してる事が素直に嬉しい。 もう一度口づけたら、その熱もぬくもりも感触も全てが愛おしくなった。 ◇◇◇ ---こんなにいつも君を見てるのに。 この歌を歌う時。いつもそんな場面が浮かび上がる。 この時だけは、舞美ちゃんしか心になくて、舞美ちゃんに全てが向く。 それ以外に何も考えられなくなる。感情を歌に乗せて思い切り剥き出しになる。 他の人なんか見えない。誰も入ってこない。私には舞美ちゃんしかいない。 無邪気のままで笑っていて欲しい。その時は私も一緒に笑いたい。 切なくて苦しむ時は一緒にいたい。感情をぶつけて欲しい。 ずっと見てるから。ずっと想っているから。 愛する意味なんてまだわかんないかもしれない。 だけど、確かにあるこの想いはどうすればいい? 私は狂おしいくらいに、舞美ちゃんを愛してる。 END |
||