しょーとしょーと。

こうしんはきまぐれなり
CPもまたきまぐれなり




◇◇あいかん◇◇

時に遠い遠い記憶を辿りたくなることがある。

思い出せば胸がキリキリ痛むから、普段は思い出さないようにしてた、ずっと。
だけど、閉まっていた記憶が、こんな風にふと目を醒ます時がある。
あの時一緒に見た空の色。夏の暑さ。やっと見慣れた景色。色褪せない笑顔。重なった体温。

記憶とは曖昧だ、といつも思う。
だけど記憶は心と限りなく近いものだとも思う。
だからこんなにも息苦しくなる。あんな記憶をもう刻む事は出来ない。
あの色も熱も笑顔も、何もかももうこれから記憶する事は出来ないんだ。
残っているのは心にだけ。あの時の気持ちまで同時に思い出すなんてどうかしてる。

「愛理、ずっと一緒にいようね。」

かんなはそう言って私の手をぎゅっと握った。
あの手の感触を私は忘れないだろう。きっとこの先誰かを好きになったとしても。忘れないだろう。
そんな記憶と気持ちを残して去って行ってしまったのを責める気なんてさらさらないけれど。
ふとこうして時々思い出す記憶と感情が時に私をこんな風に苦しめるんだ。


Twitterより




◇◇あやみき◇◇

【こんなはずじゃなかったのに】

「寂しい」

電話の向こうでどんな顔してるだろうたんの顔を思い浮かべてみる。
話の合間、さっきまでくだらない話で涙が出るくらい笑いあっていたのに。
そんな穏やかな空気が私が発した言葉によって、淀み、固まり、そして歪んだ。

「・・・なーんて。」

空気を取り戻す為の言葉、いつもならそれでよかったのに。
それでふたりで笑い合って終わり、そうなるはずだったのに。
何故か今日は取り戻す事が出来ずに。

「亜弥ちゃん・・・ごめんね。」

発せられた言葉に悔しいけど傷ついて。

そんなはずじゃなかったのに。


Twitterより



◇◇やじすず◇◇

【視姦】

少し乱暴に服を脱がされた。私の上に跨った愛理がカラダを舐めるように見下だす。上から下に視線をゆっくりずらし時々舌で唇を舐める。早く触れてほしい、カラダが勝手に疼き出すとそれに気がついた愛理がにやりと笑う。「舞美ちゃんのカラダすごく綺麗」そんな言葉に答える余裕もない程触れて欲しいのに、もうすぐ唇で触れそうな距離で私のカラダを見つめている。胸の先は少しだけ形を変え、その変化に気がついた愛理は更にそこをじっくりと眺める。息が上がる。苦しい。でも愛理は止めてはくれない。視姦されている、でもどうしようもなく感じてしまっている自分を止める事は出来なかった。

Twitterより



◇◇あいかん◇◇

時に遠い遠い記憶を辿りたくなることがある。



思い出せば胸がキリキリ痛むから、普段は思い出さないようにしてた、ずっと。
だけど、閉まっていた記憶が、こんな風にふと目を醒ます時がある。
あの時一緒に見た空の色。夏の暑さ。やっと見慣れた景色。色褪せない笑顔。重なった体温。
記憶とは曖昧だ、といつも思う。だけど記憶は心と限りなく近いものだとも思う。
だからこんなにも息苦しくなる。

あんな記憶をもう刻む事は出来ない。
あの色も熱も笑顔も、何もかももうこれから記憶する事は出来ないんだ。

残っているのは心にだけ。
あの時の気持ちまで同時に思い出すなんてどうかしてる。

「愛理、ずっと一緒にいようね。」

かんなはそう言って私の手をぎゅっと握った。
あの手の感触を私は忘れないだろう。
きっとこの先誰かを好きになったとしても。忘れないだろう。

そんな記憶と気持ちを残して去って行ってしまったのを責める気なんてさらさらないけれど。
ふとこうして時々思い出す記憶と感情が時に私をこんな風に苦しめるんだ。


12/10/30



◇◇あやみき◇◇

傘が周りの音を遮って、聞こえるのは雨の音。
固くて重い音が響いて、耳を伝って心の底に落ちる。
音を聞くたび心が重くなっていく。ぼつりぼつり。

耳を塞いでも心に落ちる雨。

いつもと変わらない景色。いつもと変わらない日常。
ふと思い出すあの人の無邪気な笑顔。無邪気だった時間。
懐かしみ胸が痛む。誰にも言えない。

そっと傘を閉じると体全体を伝う雨が、音が。
涙を隠して心を隠して、私は歩く。
そう、いつもと変わらない景色を。

好きだって無邪気に言えたあの頃よりも気持ちが大きくなっている事を。
その気持ちを隠す事に慣れてしまった事を。
時々こんな風にふいに思い出して泣きたくなる刹那を。

君は知らない。


12/4/5


◇◇あやみき◇◇

声にならない


「たん。」


呼び慣れた名前を呟いたら、呼び慣れてないような響きがした。
喉の奥で乾いたように何かがくっついてしまって、声にするのが億劫だった。
それくらい、呼んでいなかったのだろうか。私は苦笑いをした。

だけど、そう呼べるのは私だけなんだよ。

だけど声にならない。


10/10/23


◇◇やじすず◇◇


空が泣くから私も泣いた。



暗くなる世界が同時に心を暗くして、闇を作る。
闇に支配された世界は光もないのに何故こんなに綺麗なんだろう。
綺麗すぎて自分でも手がつけられない程に、それは何にも変化はしないだろう。

このまま泣き続けていられたら、この醜い感情も綺麗なままでいられるのだろうか。

隣で同じように涙を流す愛理の細い首筋に手をかけると、同じように私の首筋に手がかけられた。
同時に、行こう。

その先の世界はきっと永遠。


10/8/18


◇◇あいかん◇◇


かんなはいつだって私の手を引いてくれた。
いつも笑顔で私を見ていてくれた。

ねぇ、どうしたらいいの。

いつも繋がれていた手が何も掴めずにぶらんと空しく揺れる。
隣を見ても誰もいない。私を見つめる人はいない。

---見えるのは幻、いやそれは過去の残骸。

目を閉じて思い浮かべる。
最後に私の手を握った感触も熱も汗もにおいも笑顔も。
蘇る度に体の奥から溢れ出す感情は抑えられなくなる。

頬を涙が伝う。拭ったりなんかしない。
落ちていけばいいのに。
涙と一緒にこの気持ちも。



残したまま、熱を与えたまま。いなくなっちゃうなんてずるいよ。


10/6/11


◇◇やじすず◇◇


夜中とも朝とも言えない時間。
暗闇の中に薄く微かにある明るさで隣で眠っている愛理の顔がぼんやりと見えた。
私を抱く時の鋭くてだけど奥に優しさを秘めた目は閉じられている。
随分と大人っぽくなったけれど寝顔は幼く年相応で私は無邪気な愛理をどんどん蝕んでいる気がしていた。
醜い感情で無邪気な心を狂わせて自分勝手な満足を得る為に辛く刹那な想いを抱かせてしまっている。
髪を撫でたら眉間にしわを寄せて少しだけ唸る。
それがとてもかわいらしくてだけど起こしたらかわいそうに思えて手を離す。
そしたら愛理の体が私の胸の中に収まるようにすっぽりと入り込んできた。
それはまるで私の胸の中に愛理が居るのが当たり前のように。
無くしたピースがぴったりと収まったように。
心まで私に寄り添うつもりでいるのだろうか。
そうさせるつもりはなかったのにそうしてしまったのは私。
きっと私よりも愛理に相応しい人というか私よりも愛理を大切に幸せに出来る人はたくさんいるような気がする。
だけどこの愛おしいぬくもりが誰かの手に触れるのを誰よりも恐れていた。
愛理の全てを自分だけのモノにしたいと思う気持ちはただの自分勝手な気持ちでしかない。
愛理もそれを知っている上でそれでも私の傍にいる。
私はいつまでも前に進む事が出来なかった。
どうしても出来なかった。
それが寂しくて誰かが欲しかった。
愛理は私を深く愛してくれていてだからこそ私を大事にし全てを知り受け止める覚悟をした。
私よりも幼く小さな体でどうしてそんなめんどうなモノを抱えてしまう事を選んだのか全ては私を愛しているからだった。
いつも抱かれる度に涙が出た。
それは懺悔にもならないどうしようもない気持ちがただ溢れただけのモノだった。
愛理が唇でそれを拭う度に愛理が汚れてしまう気がした。

「愛理。」

こんな風に優しく名前を呼んだ事はこんな関係になってから初めてかもしれない。
でも愛理にはこの声は届かない。
届けるつもりもない。
私は叶わない恋にどっぷりと浸りその寂しさを愛理で紛わせた。




傷つけ苦しめている事に気持ちが満ちるような幸福感を味わうなんて私は狂っている。


10/6/8


◇◇やじすず◇◇


「何してるの?」
「空、見てた。」

その声につられて空を見上げてみた。
なんてことない青空。ただの晴天、っていうと自分がつまんない人間みたいだから、言わないけど。
草むらで体育座りして空を見上げてる舞美ちゃんの顔が綺麗だ。
だからなんとなく隣に同じように体育座りしてみた。

「ねぇ、愛理。」
「ん?」

舞美ちゃんは空を見上げたままだ。
私もまた、空を見上げたまま。

「このままどっか行こうか。」
「え?」
「どっか行こうか。」

もうすぐライブが始まる。こんなところでこんな風にぼーっとしてるのもホントは問題だ。
みんなは楽屋で自主練したり、体を休めたりしている。

「これ、から?」
「うん、いますぐ。」

本気なのかイマイチわかんない。
舞美ちゃんの顔を見たら、すがすがしくってすっきりとした表情をしていた。
それで、本気だと、知る。

「そんなの、出来るはずないじゃん。」

だからそう言うしかなかった。

「ふふふ。だよね。」

舞美ちゃんがやっと笑った。
だけどその顔はどうしようもなく悲しい笑顔だった。


10/5/30


◇◇やじすず◇◇

夜の闇の中に紛れて消えてしまえたらいい。



人工的な光もまばらだったけれど、ひとつひとつの光がより一層輝いて見えて、吸い込まれるように車を走らせた。
見慣れてる景色も違って見えた。
私の感情の中に確かに存在する、愛理への想い。
消えてしまえたらいい。消してしまいたい。
願う度に想いが募った。

純粋に笑う姿も、ステージでかっこよく歌う姿も、耳元で聞き取れないような声でダジャレを言う無邪気な姿も。
そして、ふたりきりの時に見せる、妖艶でだけど子供のような笑顔も。
私には不似合いで、悲しくて笑えた。

許されるのなら、消えてしまいたい。
この想いを全て抱えたままで、消えてしまいたい。
だけど抱えた想いを消す事は、出来ない。
ならば、光に吸い込まれて、この気持ちを遠くから照らしているだけでもいい。
その光が自分だと気づいてもらえない方がいい。

車のスピードが加速する。アクセルを踏む足が震えた。
光が私を呼んでいる。



夜の闇の中に紛れて消えてしまえたらいい。


10/5/27

あとがき:ただ夜に車を走らせただけで浮かんだ話・・・あの道を夜に車で走るのが好きなんだ。そして舞美は免許取らないのかな・・・というか舞美の運転怖いなwwとか言って。


◇◇やじすず◇◇

禁断




---この恋の結末を私は知っていた。

無言で私の服を引っ張って、そっと体を近づける。
私はそのままされるがままにしている。
それがもどがしいのか、顔と顔がくっつきそうなくらいに引き寄せられた。
私は動かない。

「ねぇ、舞美ちゃん。」
囁くように耳元で呟かれた。その声が耳から脳へそして体全体に響いて、遅れて心に届く。
「抱いてよ。」
ストレートな言葉、余計な物をいっさい含まない言葉。
目が合うと、真っ直ぐに私を見つめるふたつの瞳。
吸い込まれるのはわかっていた。それでも私は目を逸らせなかった。

重なった唇が熱くて神経が全てそこに集中した。
背中に腕が回されてもっと深く引き寄せられた。
ぴったりとくっついた体の熱はどんどん高くなっていく。
止めることは、出来ない。

結末は刹那。
触れてはいけなかった。結末を見ない為に。
だけど意図も簡単に、私は触れてしまった。
一緒に落ちたい、と思ってしまった私の罪に、愛しい人を道連れにした。

落ちていく瞬間は、何故こんなに美しく綺麗なんだろう。

そんな事を思いながら、私は好きで好きでたまらない人に触れた。
触ってはいけない。それは禁断。
だけどそれを止める術を私は知らなかった。


10/5/27