衝動 「愛理」
名前を呼ばれる度に嬉しくてぞくぞくする。 舞美ちゃんの喉を震わせて発せられる自分を呼ぶ声が愛おしくてそれでいて妖艶で。 体中を震わせて心乱すその声がたまらない。 そしてその声に過剰に反応する自分が悔しいと思う。 思うけど、舞美ちゃんの顔を見るとそういう気持ちが全部吹っ飛んでしまう。 あんな純粋無垢な、舞美ちゃんを見てると自分が愚かに感じてしまうからだ。 「舞美ちゃん?」 私が発する声は舞美ちゃんにどんな風に届いているんだろう。 にこにこ嬉しそうに笑う舞美ちゃんの顔を見るとやっぱりそんな考えも全部吹っ飛んでしまう。 純粋すぎると傷つけたくなる、だなんて狂ってると思う。 でも止まらない。 「愛理、お泊り楽しみだねー。」 傷つけたくてつけられたくて、狂ってるというならそれでいい。 だから目を背けないで欲しい。 背徳感なんていらない。 「舞美ちゃん。」 呼ばれてきょとんとしてるその瞳に自分だけを映して。 無防備なカラダを自分に引き寄せて抱きしめて。 それでも屈託なく笑う笑顔が眩しくて目を背けてしまいたい。 綺麗な肌を真っ赤に傷つけてしまいたい。 衝動が衝撃で揺れる。 そんな私の気持ちに気づかずに無邪気に笑うその笑顔を傷つけたい衝動と戦っている事を、きっとこの人は一生気がつかない。 END |
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