運命。

前世で、来世でも恋人であり愛し合う事を誓ったふたりがいた。
来世、また来世でずっとずっと。出会い、恋に落ち、愛を誓った。

現世、そのふたりはいつもとは違っていた。
ふたりの性別は同じくなり、それでもふたりは出会った。

---ふたりの名は、亜弥と美貴。



◇◇◇



「亜弥ちゃん。美貴の誕生日、一緒にいてくれる?」
「・・・はぁ?っていうか、いるじゃん、相手が。」
「そうなんだけどぉ。夕方まではひとりなの。亜弥ちゃんは仕事?」
「しーごーとー。」

電話の向こうで甘い声を出すたんに向かって、めんどくさそうにそう言った。
毎年、毎年こんなやりとり。
今年はさすがにないだろうって思ってたけど・・・。違ったみたいで。
私に対してこんな風に甘い声出しちゃって・・怒られないのかなぁ?

「あー、うん。今いないんだ。」

なんか、人妻と不倫してる気分になる。
って言う程大袈裟なものじゃないけど、ね。

「とにかく仕事だから。会いたかったら事務所においで。」

ああ、こうやって私は結局たんに甘い。
たんは嬉しそうに返事をして、会えないとかぎゃーぎゃー騒いでた電話が切れた。

「ふぅ。」

ソファーになだれ込むようにダイブ。
なんか今日は疲れてる。
それに・・・こんな電話したせいか、胸の奥につっかえてる気持ちが出てきそうになりそうで。
でも、それをあやふやに流してしまう事にも、もう慣れた。

・・・どうして、たんじゃなきゃダメなの?

そんなのわかんないから、こんな風になっちゃってる。

思考を止めた。
私はそのままベッドに寝転がって、眠りについた。



私とたんは、お互いに甘えるようにべったりだった。
そういう風にいるのが自然だったから、他の人にだったら絶対に言えない・・・嫉妬のような気持ちも吐き出したり。
自然に独占欲も強くなった。
それはまるで恋人みたいな。

それに気がついた時に、胸の奥に何かつっかえてる気持ちを見つけた。
それを取り出したらわかちゃうのが怖くて、私はそのままつっかえさせたままにしてる。

たんはどんな風に思ってるだろう?

そんな事を考えてもキリがない。
そう、いつもいろんな事を思い浮かべては、考える前に全て打ち消してきた。
具体的に、現実的に、思い浮かべるなんて事は怖すぎた。

「相当、だよね・・・。」

自虐気味に笑う。

きっと一生付き合っていくこの気持ち。
つっかえさせたまま、一生を終える。
それは何があっても揺がない事だった。



◇◇◇



前世で、ふたりはいつもふたりだけの世界で、濃く深く、愛を育てた。
来世に繋がる程に、濃く深く。
その誓いは、今日この日、『226』に行われていた。

---また、来世も愛を誓おう。

ふたりが微笑みあって、口づけを交わし。
お互いしか見えずに、お互いに触れて求めた。



◇◇◇



だから今日、この日は無意識の中にあるだけど大切な日で、結局会わずにはいられない。
そして、誓いを立てる。
お互いがそれを知らぬままに・・・。お互いに、来世を誓った。



END